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2023.10.18
運動が血糖値に与える好影響

血糖値と運動

飽食の時代になった現代の日本。健康な体やダイエットにおいて、 日々の”血糖値コントロール”は非常に重要です。

血糖値のコントロールには、食事の取り方や内容が重要になってきますが、 運動によっても良い影響が得られることをご存知でしょうか。
そこで今回は、【運動が血糖値に与える好影響】についてご紹介します。

ダイエットや生活習慣病対策に重要となる血糖値コントロールは、 食事だけでなく、運動も併用して行うことで、より効果を高めることが出来ます。 血糖値が高い状態を放置すると、どの様な悪影響があるのか。 また運動による血糖値への好影響について理解を深め、 日々の健康づくりに役立てましょう。


血糖値とは


血糖値コントロール

血糖値は、血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度を数値化したものです。 食事で摂った炭水化物などの糖質は、最小単位であるブドウ糖に分解されて、 血液中に入りエネルギーとなります。この血液中のグルコースの濃度が血糖値です。

血糖値は、膵臓から分泌されるホルモンである「インスリン」の働きにより、 常に一定の状態が保たれています。 例えば食事を摂ると、含まれる糖により一時的に血糖値は高くなりますが、 それに合わせてインスリンが働いて上昇した血糖値を下げます。 この時に回収された糖は、体内貯蔵エネルギーとして 肝臓や筋肉に蓄えられ、そして余った分は脂肪へと蓄えられます。

逆に空腹時などエネルギーが足りない時、つまり血糖値が下がった時には、 全身の脂肪や筋肉を分解して、肝臓がそれを元に血糖を作り血糖値を上げます。 太る・痩せるはこうしたメカニズムで起きていますが、 この様に血糖値はホルモンによって常にコントロールされているのです。

インスリンは余った糖を脂肪として体に蓄える働きをすることから、 別名、「太るホルモン」とも呼ばれます。食べ過ぎや運動不足によって 高血糖な状態が多くなると、インスリンが過剰に出て、 肥満やメタボに繋がるリスクが高まります。


血糖値が高い状態を放置すると?


血糖値

血糖値が高い状態(高血糖)が続くと、肥満のリスクが高まるだけでなく、 インスリンの分泌が低下したり、働きが悪くなる「糖尿病」のリスクも上昇させます。

糖尿病は血液中のインスリンが不足してブドウ糖の濃度が高くなりすぎる病気です。 糖の多い状態の血液が血管壁と長く接することで、 血管に負担がかかり、傷ついて次第に傷んで来ます。 進行すると動脈硬化が進み、脳血管疾患や心疾患のリスクを高める。 また、糖尿病の合併症として、糖尿病網膜症(視力低下や失明)、 糖尿病腎症(人口透析)、神経障害(手足の痺れや痛み)など、 重篤な疾病に繋がることもある怖い病気です。

血糖値の状態をチェックする検査では、空腹時の血糖値や、 HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を見るのが一般的です。 食事をとらない状態で採血して検査する、空腹時血糖値の基準値は70から100mg/dL。 110mg/dL以上だと境界型と判断され、126mg/dL以上で糖尿病の診断基準となります。

HbA1cも同じく血液検査で測定されます。 血糖値が高くなると、血液中のブドウ糖がヘモグロビンと結合してHbA1cに変わります。 そのためHbA1cの測定値が高い=血糖値が高いと判断されるのです。

HbA1cの基準値は4.3〜5.8%で、6.5%以上は糖尿病と診断されます。 さらに7%を超えると糖尿病の合併症リスクが高まるとされますから、 定期的な検診と、生活習慣の改善による予防を心掛けることが大切です。


血糖値コントロールの基本は食事と運動


運動

糖尿病にはタイプがありますが、 生活習慣病が関わる二型糖尿病の場合、食事と運動の改善が基本です。
血糖値を正常に保つためには、糖分の取りすぎや糖質に偏った食事、 食べ過ぎ、早食いに気をつけ、 野菜や海藻、キノコ類を多く摂り栄養バランスを整えること。 そして適度な運動に習慣的に取り組むことが大切です。


運動による血糖値への好影響


運動がどの様に血糖値に影響するのでしょうか。 以下では、運動による血糖値への好影響についてご紹介します。


食後高血糖の抑制


運動時には、筋肉で多くのエネルギーが使われるため、 エネルギーの元となる血中のブドウ糖が大量に消費されて血糖値の上昇を抑制します。 特に食事によって血糖値が上昇してくる、 食後30分〜2時間程度の間に運動することで、 食事による血糖値の上昇を抑え、脂肪の蓄積を防いだり、 血糖値スパイク(*)による害を防ぐ効果があります。

食後の運動は激しい運動ではなく、ウォーキングや階段の上り下りでも十分効果があります。 頑張り過ぎて逆に食欲が増すこともあるので、無理なく取り組むことが大切です。

(*血糖値スパイクとは、食後の血糖値が急上昇と急降下を起こす状態を言います。 血糖値スパイクが起きると、肥満や糖尿病のリスクが増す他、 血管にダメージを与え、様々な疾病のリスクを高めます。)


インスリンの働きを改善


インスリンの働きが悪くなることが糖尿病を引き起こす原因となりますが、 「インスリンの働きがなぜ悪くなるのか」と言うと、 ここには”内臓脂肪の増加”が関わっています。

脂肪細胞からは、インスリンの働きを活性化させる 「アディポネクチン」という善玉物質が分泌されていますが、 内臓脂肪が増え過ぎると、アディポネクチンが減り、 インスリンの働きを悪くしてしまうのです。

食べ過ぎや運動不足によって内臓脂肪が増え過ぎると、 インスリンの働きが悪くなり糖尿病のリスクを高めてしまう一方で、 運動により内臓脂肪を減らせば、 アディポネクチンの分泌が改善されインスリンの働きが良くなります。

筋肉を維持強化し、代謝を高め、肥満を予防する意味でも、 また内臓脂肪を減らし、インスリンの働きを改善する意味でも、運動習慣の継続が大切です。
日々しっかり体を動かすことを習慣にして、内臓脂肪を撃退しましょう。

*尚、既に糖尿病によって薬を使用している人や低血糖を起こしやすい人は、 運動によって逆に体調不良を起こす場合もある為、必ず医師の指導の元、 安全な状態で取り組まれるようご注意ください。


食事と運動の併用で血糖値コントロール


血糖値は、太る・痩せるに関わるだけでなく、 あらゆる不調や病気と深く関わっています。

血糖値コントロールは、日々の食習慣だけでなく、 運動習慣も継続することで効果を高めることが出来ます。 是非、食事・運動の両面からのアプローチで、健康な毎日に繋げましょう。