怪我したわけでもないのに、普段生活する中で膝が痛む事はありませんか?
人の関節の中で、体重を支えている膝や股関節は特に痛みを生じやすい部位となります。
特に加齢や体の歪み、過体重などから膝関節が擦り減り
痛みを引き起こす「変形性膝関節症」は、
中高年が訴える膝の痛みの原因の9割以上に当てはまるありふれた疾患です。
しかし同時に、フレイルの原因となる重大な問題でもあります。(フレイル:虚弱。健常と要介護との間)
放置すれば、将来寝たきりになる危険もある為、早め早めに対策することが大切です。
そこで今回は、消耗品と言われる
関節を労わる習慣についてご紹介します。
健康な関節を守り、いつまでも元気に自分の足で歩くには若いうちからの対策が重要です。
「まだまだ若いから」「歳だからしょうがない」
「今は痛みが出ていないから」と油断せず、
早い段階から対策して大事な関節を守りましょう。
膝の痛みの原因となる「変形性膝関節症」とは
膝の痛みの原因の多くは、変形性膝関節症と言われます。
変形性膝関節症は、加齢や体の歪み、過体重などにより膝軟骨が擦り減ることから起こります。
骨と骨をつなぐ関節は、クッションの役割を果たすなめらかな軟骨で覆われています。
軟骨は、弾力を生み出すコラーゲンや、保湿成分となるプロテオグリカン等の成分からできており、
血管や神経はありません。その為、軟骨が擦り減っても初期の状態では痛みが出ず、
自覚症状なく進行していきます。
そして進行するに連れ、軟骨が擦り減る過程で出る摩耗物により炎症を引き起こしたり、
骨同士がぶつかるようになることで痛みが出る様になります。
10年前には患者数が約800万人だった変形性膝関節症ですが、
現在では更に増え1000万人を超える程となっています。
潜在的な患者を含めれば、その数が3000万人を超えるとされることからも、
決して他人事と考えず、若い内から対策を心掛けて行きましょう。
関節は消耗品
筋肉や骨は鍛えれば何歳からでも鍛えることが出来ますが、
関節には血管もなく代謝も極めて遅いことから、
一度ダメになると回復させる事は難しいとされます。
これが「関節は消耗品」と言われる所以です。
関節は酷使すればするほど消耗しやすく痛みが出ると徐々にその痛みも増し、
将来的に治療が必要になることがほとんどです。
例えば、変形性膝関節症の治療方としては、PRPなどの再生医療や、
関節に直接ヒアルロン酸を入れるなどの治療、重症になると、
人工膝関節置換術と言った外科的手術が必要になることもあります。
しかし、出来ることならそうならない様にしたいですよね。
そこで以下では、関節への負担軽減に繋がる対策をご紹介します。
関節への負担軽減に繋がる対策
何も対策しなければ、使うほどに消耗してしまう関節ですが、日常で対策することで関節への負担を大幅に軽減することが出来ます。
普段から意識した生活を心掛け、大切な関節を労わりましょう。
姿勢を正し左右差を無くす
姿勢が悪いと、関節の痛みを助長させてしまいます。
例えばスマホやパソコンを使用する際には猫背の姿勢になりがちです。
頭が前に出て背中が丸まる。すると無意識に骨盤が傾き膝が前に出やすくなる。
こうした悪い姿勢になっている現代人が多くいますが、
悪い姿勢は見た目年齢を上昇させるだけでなく、関節への負荷も増やします。
本来、分散されるべき負荷が一部分に偏り、
関節に大きな負荷がかかることで、軟骨がすり減りやすくなるのです。
首や背中が丸まったり、体の左右差が生じないよう、常に姿勢を正す意識を持つこと。
足を組まない、片足立ちせずまっすぐ立つ、バッグを毎回同じ肩に掛けないなど、
普段から意識して姿勢や左右左の改善に努めましょう。
過体重を防ぐ
肥満など、過体重も関節に負荷をかける大きな原因となります。
例えば、膝には体重の3倍の負荷がかかると言われます。
体重が50キロならば、膝への負荷が150キロ、これが体重が10キロ増えれば180キロに。
30キロもの負荷がプラスされることになります。
関節に余計な負荷をかけないためにも、
バランスのとれた健康的な食事と適度な運動習慣を心がけ、
適正体重を維持することが大切です。
膝を支える筋肉を鍛える
関節は、その周りにある筋肉で支えていることから、
筋力トレーニングによって筋肉を強化することが関節を守る上で重要です。
特に女性の場合、閉経と共に筋肉が減り脂肪が付きやすくなります。
筋肉が弱まると無意識に膝を曲げた状態で歩くようになり、
膝への負荷を大きくする原因になることから注意が必要です。
また、関節が痛くなると運動しなくなる人が増えます。
そうすると筋力が衰え、尚更関節を悪くするといった悪循環に陥りやすくなることから、
無理のない範囲できちんと運動を継続していくことが大切です。
歳をとるほどにトレーニングを意識して、元気に歩ける体づくりを意識しましょう。
ただし、筋肉は闇雲に鍛えれば良いと言う訳でもありません。
負荷が大きすぎると、逆に関節に負荷をかけ、怪我に繋がる可能性もあります。
筋力トレーニングを取り入れる際の理想の頻度は週に2〜3回程度です。
自分の中で無理のない範囲で取り組んで行きましょう。
または既に痛みがあったりオーバートレーニングの自覚があれば、
頻度を減らす、負荷を下げるなど対策して、関節への負担を減らしましょう。
筋力トレーニングの際にはフォームの見直しも重要です。
間違ったフォームでトレーニングを行うと、
関節に余計な負荷がかかり痛めてしまう原因になります。
筋トレは正しいフォームと適度な負荷、頻度で正しく行いましょう。
関節周りの柔軟性を高める
関節周りの柔軟性を高めておくことも健康な関節には重要である為、
運動とストレッチは必ずセットで行いましょう。
特に股関節周りの柔軟性を保つ事は、膝関節の可動域を上げ関節の痛み対策に有効です。
膝に負担の少ない歩行フォームを身に付ける
誰もが毎日行う歩行のフォームについても見直してみましょう。
歩く際に膝が曲がったまま歩いている人を多く見かけます。
膝が曲がったままだと、膝を伸ばす太ももの筋肉が使われず筋力が低下、
また足を着地した際の膝への衝撃も大きくなります。
歩く際には、太ももの筋肉をしっかり使い、
膝を伸ばした状態で着地することを心がけてみましょう。
関節を支える筋肉の強化と膝への負担軽減で、一石二鳥の効果を得ることができます。
また、日々の運動習慣として、ウォーキングやジョギングを取り入れている方の場合、
正しいフォームで行うと共に、シューズやコースにも拘ると良いでしょう。
厚底で衝撃吸収性に優れたスニーカーを選ぶ。硬いアスファルトの上ではなく、
土や芝の上、ジムでのランニングマシーンを選ぶなど、
工夫するだけでも関節への負担を大幅に減らすことができます。
膝関節を守るのにお勧めの食べ物
アボガドには、軟骨の土台となる繊維を作る成分であるTGF-βが含まれています。
擦り減った軟骨の修復に役立つことが知られている為、役立てると良いでしょう。
また軟骨を作る材料となるタンパク質を日々の食事で補うことも大切です。
その上で、栄養はそれぞれが助け合って働くことから、
バランスのとれた健康的な食事を心がけて行きましょう。
洋式の生活で膝への負担を減らす
日常生活では、膝の曲げ伸ばしの負担を減らすために、
床に座るのではなく椅子に座る”洋式の生活”を心掛けるのがお勧めです。
消耗品である関節をしっかり労わろう
運動をすればするほど、健康で若々しくいられると思われがちですが、
無理な運動はかえって関節を痛めてしまう場合もあります。
いつまでも自力で歩ける体を維持するには正しく対策することが重要。
若い今の内から関節への負担を軽減する工夫を習慣にし、
消耗品と言われる関節をしっかり労わって行きましょう。