今年は忘年会が増えた方も多いのではないでしょうか。
忘年会と言えばお酒が付きものです。12月も終盤となり、
すでに肝臓がお疲れの方も多いかも知れません。
アルコールの解毒には肝臓に大きな負担を掛けます。
また暴飲暴食や運動不足など、年末年始に陥りがちな
乱れた生活習慣も、肝臓を弱らせる原因になります。
肝臓は私達が健康に生きる上で大変重要な臓器。
新しい年を元気に迎える為にも、肝臓を大事にしましょう。
そこで今回は、肝臓が体内でどのような役割を担っているのか、
【肝臓の働き】についてご紹介します。
アルコールの解毒だけでない、肝臓が担う重要な働きについて理解を深め、
肝臓を労わることから健康な毎日に繋げましょう。
肝臓は人体の化学工場
肝臓は人体最大の臓器です。
その重さは成人でおよそ1.2キロ〜1.5キロ程、体重の約50分の1程となります。
肝臓では非常に多くの化学反応が生じるため、「人体の化学工場」と呼ばれることも。
その働きは500以上にもなり、体を機能させるために日々働いています。
大きくて働き者である肝臓には具体的にどのような働きがあるか、
代表的なものを以下にご紹介します。
胆汁の生成
肝臓には、脂質の消化吸収を助ける役割を持つ「胆汁」を生成する働きがあります。
食事で摂り入れた脂肪は、胆汁の働きによって腸から吸収されやすい状態に分解されます。
また胆汁には、古くなった赤血球や微量金属などの不要なものを排泄する働きや、
血中のコレステロール濃度を調節する働きもあります。
代謝
肝臓には、体に必要な栄養素を分解したり、吸収したりする働きがあります。
口から入った食べ物は、そのままの状態ではほとんどが吸収することができません。
胃や腸で消化された食物を分解して栄養素として吸収できるように、肝臓が働き変化させます。
体が栄養素を利用しやすい形に分解・合成する働きを代謝と呼びますが、
肝臓の機能が低下すると、代謝機能も低下し、
食事で摂り入れた栄養素が使われにくくなり、代謝の異常をきたす場合があります。
貯蔵
肝臓は、吸収された栄養素を利用しやすい物質に変えて貯蔵し、
必要な時にエネルギーとして体内へ送り出します。
例えば、ブドウ糖を「体内貯蔵エネルギー」であるグリコーゲンに変えて
肝臓内に蓄えておき、空腹時など、
血糖が下がった時のエネルギーとして速やかに供給します。
他にも、鉄、亜鉛などのミネラルや、ビタミンが肝臓で貯蔵され、
必要に応じて使われています。
ただし、栄養過多の状態が慢性的に続くと、
肝臓に脂肪が溜まる「脂肪肝」の状態になり、機能低下を招きます。
有害物質の分解、解毒
肝臓には、体に有害なものを無害なものに変える役割があります。
例えば、お酒に含まれるアルコールをアセトアルデヒドに分解したり、
代謝の過程で作られる有毒なアンモニアを、毒のない尿素に分解する。
タバコに含まれるニコチンを中和するなど、
人体にとって有害な物質は、肝臓で分解、処理されます。
「沈黙の臓器」とも呼ばれる肝臓
この様に、肝臓は私たちが生きる上で大変重要な働きをしています。
文字通り、”肝”心な”臓”器である為に、高い再生能力があるのも特徴です。
健康な状態ならば、70%程度切除しても元に戻る力のある、強くたくましい臓器です。
しかしその反面、肝臓には神経が通っておらず、
弱っていても痛みなどの自覚症状が現れません。
かなり悪い状態になるまで気づきにくいと言う怖い性質があります。
肝臓が「沈黙の臓器」と言われるのはこの為で、
働き者である肝臓に過重労働をさせ、機能低下を招くことのないよう、
特に年末年始を迎えるこれからの時期、注意して過ごしましょう。
年末年始の不摂生で肝臓が弱る
お酒を飲む機会が多くなる年末年始、肝臓にとっては試練の時となります。
前述の通り、肝臓はアルコールを分解、解毒して、
体に無害なものに変える働きを担っています。
ただし、飲酒量が増えすぎると、肝臓に大きな負担がかかり、
次第に機能が低下してしまうことも。
肝機能の働きが悪くなると、
肝臓が担っている様々な働きに悪影響を及ぼしたり、
代謝しきれないエネルギーが肝臓に溜まり、
まるでフォアグラのような状態になる「脂肪肝」を招くこともあります。
肝臓は沈黙の臓器ですから、機能の低下や働きに問題が出ても、
痛みなどの症状が現れないのが怖いところです。
そこで更に過度の飲酒や肝臓に負担をかけるような生活習慣が続くと、
肝機能が益々低下し、肝炎や肝硬変、
肝がんなどの怖い病気に移行する場合もある為、十分な注意が必要です。
また、飲酒を含め、食べ過ぎ、飲み過ぎなどで必要以上のエネルギーを摂取したり、
運動不足でエネルギーが過剰になることでも、肝臓に脂肪が蓄積し、
脂肪肝から肝機能を低下させる原因になります。
脂肪肝は、今や日本人の3人に1人が患っているとされます。
脂肪肝はお酒をよく飲む人や太っている人がなるイメージがありますが、
実際には、お酒を飲まなくても、痩せていても関係なくなる可能性があります。
”肝臓病の入り口”とされる脂肪肝を防ぐ為にも、
年末年始こそ注意して、食事や運動など生活習慣を整えて行きましょう。
働き者である肝臓を大切にしよう
年末年始は、飲み会などで暴飲暴食が続いたり、
寝正月などで運動不足に陥る等、不摂生により肝臓が弱りやすくなります。
働き者である肝臓に過重労働をさせ、
沈黙のまま悪い状態に陥らせることのないよう、
飲酒の際には出来るだけ適量を心掛けたり、
出来るだけ体を動かすなど、健康的な習慣を意識して過ごしましょう。