「冬型栄養失調」をご存知ですか?
冬型栄養失調とは、冬場に体が冷えから身を守ろうと、
多くのエネルギーを消費することで起こる栄養失調のことです。
外気が暖かい夏に比べ、冬場は体温維持の為に多くの熱を生み出します。
夏と比べ、冬のエネルギー消費量は10%増になるとされ、
同じ食事をしていても、その分栄養が不足しやすくなるのです。
冬型栄養失調になると、疲れがなかなか抜けなかったり、
風邪をひきやすくなる、口内炎や肌荒れなど、様々な悪影響を及ぼす危険が増します。
普段通り食べているつもりでも、知らず知らず必要な栄養が不足しがちになるため、
冬場は特に注意して食生活を整えることが大切です。
そこで今回は、
【冬型栄養失調により起こりがちな症状】
や、
【冬場に不足しがちな栄養素】
についてご紹介します。
冬型栄養失調により様々な不調を引き寄せないよう、
日々の食事から必要な栄養素をしっかり補い、冬を元気に乗り切りましょう。
冬は栄養が不足しやすい?
ダイエットではよく、「夏よりも冬の方が痩せやすい」と言われますよね。
その理由は冬の寒さにあります。
体は冬の寒さに対抗するため、多くのエネルギーを消費します。
熱をより多く生み出す必要があることから代謝量が増え、
その分痩せやすくなるとされているのです。
しかし、こうしたメリットがある反面、デメリットもあります。
多くのエネルギーを消費する分、普段と変わらない食事をしていると、
健康に生きる上で不可欠な栄養素が不足し、体調を悪くしてしまう場合があります。
この様な冬特有の栄養の偏りを「冬型栄養失調」と呼びます。
冬型栄養失調になると、免疫力の低下から風邪やインフルエンザに罹りやすくなったり、
肌質や髪質の低下、メンタルの不調を招くなど、
様々な悪影響を及ぼす危険度が増すことから注意が必要です。
冬型栄養失調により起こりやすい不調
冬型栄養失調により引き起こされやすい体の不調には、以下の様なものがあります。
・疲れが取れない
・まぶたがピクピク動く
・口内炎がよくできる
・風邪をひきやすい
・傷が治りにくい
・抜け毛が増えたり、髪のパサつきが酷い
・肌が酷く乾燥する
・外に出るとドキドキする
冬場にこの様な症状が見られる場合、
それはもしかすると冬型栄養失調が原因になっているかも知れません。
特に日々の忙しさから食事を抜いていたり、野菜不足などで栄養の偏りがある。
またダイエット目的で過度な食事制限を行っていたりすると、
冬型栄養失調の危険が高まることから、十分な注意が必要です。
冬型栄養失調に陥らない為にも、特に冬場に不足しがちな栄養を中心に、
規則正しいリズム、そしてバランスの良い食事を意識して、冬の不調を吹き飛ばしましょう。
冬に不足しやすい栄養素
特に冬に不足しがちな栄養素には、エネルギー代謝に関わるビタミンB郡やビタミンC、
葉酸、鉄をはじめ、肌の保湿成分となる脂質などがあります。
ビタミンB群
糖質、脂質、タンパク質の3大栄養素の代謝に関わり、
エネルギー生産に不可欠であるビタミンB群は、冬場に大量に消費され不足しがちです。
例えばビタミンB1が不足すると、糖質を摂取してもエネルギーに変えることが出来ず、
疲れやすくなったり、体が冷えやすくなるなどの悪影響が出やすくなります。
皮膚や粘膜、髪の健康維持に欠かせないビタミンB2が不足すれば、
肌荒れや口内炎、抜け毛や髪のぱさつきなどが引き起こされやすくなります。
他にも、タンパク質の分解に働き、皮膚病を防ぐ、抗アレルギー効果を持つビタミンB6。
葉酸と協力して赤血球を構成したり、神経系の働きを正常に保つ働きを持つビタミンB12等。
どれも重要な栄養素です。冬の体調を整えるためにもしっかりと補いましょう。
≪ビタミンB群を含む食品≫
豚肉・牛肉・レバー・カツオ・マグロ・うなぎ・豆腐・玄米など
葉酸
葉酸は赤血球の材料になる栄養素です。
「造血ビタミン」と呼ばれ、ビタミンB12と協力しあって血液を作ります。
貧血対策に役立つほか、神経系を安定させ憂鬱な気持ちを和らげる効果もあります。
冬場の寒冷刺激によるストレスで少なくなることから、不足させない様にしましょう。
≪葉酸を含む食品≫
レバー・モロヘイヤ・ほうれん草・アスパラガス・
春菊・枝豆・とうもろこし・いちごなど
鉄
鉄は赤血球のヘモグロビンの構成成分です。
呼吸で取り込んだ酸素を体内の隅々まで運搬する大事な働きをしています。
貧血や疲労感の予防、冷えの改善などに効果的。
また代謝を促進しダイエットを円滑にするほか、
肌の血行を良くし、美肌に導く効果などが期待できます。
鉄は毎月月経のある女性に不足しやすい栄養素で、
特に体が冷える冬場は積極的に補いたい栄養素となります。
鉄はビタミンCと一緒に摂ることで吸収率が上がる為、
ビタミンCを多く含む食品と合わせて摂るようにしましょう。
≪鉄を含む食品≫
レバー・牛肉・豚肉・納豆・小松菜・ほうれん草・ひじきなど
ビタミンC
ビタミンCには、吸収されにくい鉄を体内に取り込みやすくする働きがあります。
また、コラーゲンを構成して皮膚を健康に保つことから「美肌のビタミン」の代表格とされます。
抗酸化作用や抗ストレス作用もあり、菌やウィルスに負けない強い体を維持する。
冬場の寒冷刺激によるストレスの緩和など様々な働きを持ちます。
感染症のリスクが高まる冬場にビタミンCが多く消費されがちです。
強く美しい体を維持する為にも積極的に取り入れましょう。
≪ビタミンCを含む食品≫
ブロッコリー・カリフラワー・芽キャベツ・アセロラ・トマト・ゴーヤ・ キャベツ・
キウイフルーツ・いちご・青菜類・柑橘類など
マグネシウム
マグネシウムは、寒さで硬くなった筋肉や血管を改善するために働き、冬に不足しがちです。
また、冬の寒さから来るストレスによってもマグネシウムの消費量が増えます。
マグネシウムは、カルシウムとの関わりが深く、
筋肉内のカルシウムの量を調節して筋肉の収縮を促します。
また摂り過ぎたカルシウムが血管の壁に蓄積するのを防ぎ、
動脈硬化を予防する働きがある他、ストレスに負けない体作りにも役立ちます。
≪マグネシウムを含む食品≫
あさり・牡蠣・イワシ・ほうれん草・バナナ・乾燥プルーン・
アーモンド・油揚げ・納豆・など
脂質
脂質は体に重要なエネルギー源で、1グラム当たり9キロカロリーのエネルギーを生み出します。
体の保温、保湿や内臓を守るクッションの役割を果たす他、
細胞膜や角膜、ホルモン、神経組織などの材料になります。
空気が乾燥する冬場は、体の乾燥を防ぐために脂質を多く消費します。
不足すると、細胞膜や血管がもろくなり、
脳出血などの血管の病気を引き起こすリスクが高まったり、
エネルギー不足から疲れやすくなる等のリスクがあります。
生命維持に欠かせない栄養素であるため、日々の食事から適切に補いましょう。
≪良質な脂質を含む食品≫
魚・アマニ油・えごま油・オリーブオイル・ナッツ類など
食事を整え冬型栄養失調を遠ざけよう
気温や湿度の低下から、風邪やインフルエンザが流行するこの時期。
そんな時期には、体に十分な栄養を取り込み、健康の土台をしっかり整えておくことが大切です。
寒い冬には多くのエネルギーが使われることから栄養が不足しがちです。
朝昼晩、バランスの良い食事を心がけることから冬型栄養失調を遠ざけ、
元気な心と体で寒い冬を乗り切りましょう。