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2023.06.21
肥満と認知症の意外な関係

肥満と認知症

蛇口をひねれば水が出て、コンロのスイッチを押せば火が出る。 どこに行くにも乗り物で楽に移動できる便利な現代の日本。 日常で動く機会が減っている上に飽食の時代ともなれば、 肥満になるのもそう難しくはありません。

厚生労働省が発表した、令和元年の「国民健康・栄養調査報告」によると、 20歳以上の肥満者(BMIが25以上)の割合は、 男性で33.0%、女性で22.3%と高い割合になっています。 肥満や過体重は、心臓病や高血圧、二型糖尿病など、生活習慣病のリスクを高めます。 肥満が体に悪い事は誰もが重々承知のこととは思いますが… 実は”認知症の発症リスク”までも高めることをご存知でしょうか?

肥満と認知症は一見関係なさそうに思えますが、全く無関係ではありません。
そこで今回は、【認知症と肥満の意外な関係】についてご紹介します。 肥満のリスクについて知識を深め、生活習慣の改善、 適正体重の維持を心掛けることから、様々な病気を遠ざけましょう。


肥満と認知症の関わり


メタボリックシンドローム

認知症と肥満は全く無関係と思われがちですが、実は密接な関係があります。 特に高齢でのメタボリックシンドロームは、 認知症の発症に関わるとの研究データがあることから注意が必要です。
年を重ねると共に細胞は衰えるもの。 人生100年時代となり、認知症は誰もが無関係ではありません。 将来の不安を極力減らす為にも、認知症と肥満の関係について理解を深め、 生活習慣の改善に役立てましょう。


肥満が認知症のリスクになる理由


認知症は、何らかの病気によって、 脳の神経細胞が壊れるために引き起こされた症状や状態を指します。

肥満が認知症のリスクになる理由としては、 肥満は高血圧や糖尿病などの生活習慣病を招く要因になることが関係しています。 また、肥満によって代謝異常が起きることで、血流が滞りやすくなり、 脳の血流不足、そして機能低下を招くことが認知症のリスクを増やす原因ともされます。

認知症の代表的なものには、アルツハイマー型やレビー小体型、脳血管性などがありますが、 肥満との関わりが大きいとされるのが、脳血管性認知症です。 (脳への血流が減少し、組織が破壊されることにより機能が失われる病気)

脂肪が過剰な状態は、体に炎症物質を増やします。 血管を傷つけて脳梗塞・脳出血から引き起こされる血管性認知症を招く原因になります。 脳血管性認知症はアルツハイマー型認知症に次いで患者が多く、 認知症の20〜30%を占めています。 アルツハイマー型認知症に比べて男性の割合が高く、 比較的若い世代に多いのが特徴です。

物忘れなどの記憶障害や、時間や場所がうまく認識できない見当識障害、 物事を計画的にこなすことができなくなる実行(遂行)機能障害などが症状として見られます。 また脳血管に障害を受けている部分と受けていない部分の働きにより、 日によって出来ることと出来ない事のムラがあり、 その変動が大きいことから、「まだら認知症」とも呼ばれます。

また、糖尿病のある人はアルツハイマー型認知症になりやすいことが知られています。
アルツハイマー型認知症は、特定の蛋白質(アミロイドβなど)が 脳に異常に蓄積されることで脳の神経細胞が壊れる為に起こります。 インスリンは血糖値を下げる働き以外にも、脳内でアミロイドβを作りにくくしたり、 分解を促す働きがあります。糖尿病になるとインスリンの働きが悪くなる為、 アミロイドβが脳に蓄積しやすくなり、アルツハイマー型認知症のリスクを高めます。

この様に、肥満と認知症には深い関りがあります。
脳の血管障害を引き起こさないよう、 健康的な習慣を送ることから肥満、そして生活習慣病を予防することが大切です。


高齢でのメタボリックシンドロームに注意


年齢を重ねるごとに代謝は低下する為、年々太りやすくなっていきます。 肥満者は、男性全体で33%ですが、年代別では40〜50代で約4割の人が肥満とされます。 また、女性の場合も60代以上に肥満が増える傾向があり、 中年以降は特に肥満の沼にハマりやすいことから注意が必要です。

中でも、内臓に脂肪が溜まったメタボリックシンドロームには要注意です。
男性では腹囲85センチ、女性では腹囲90センチ以上で、 尚且つ、血圧、血糖値、脂質のうちの2つ以上が基準値を外れていると メタボリックシンドロームと判定されます。

メタボリックシンドロームになると、動脈硬化による血圧の上昇、 そして脳血管障害を引き起こし、認知症を発症しやすくなるとされます。 歳が増すにつれ脳の機能が低下するのは普通のことですが、 肥満の場合、脳の老化は通常よりも10年以上早まるとされますから、 特に脳の機能が衰えてくる中年以降の肥満・メタボ対策は重要です。


肥満・メタボを予防し認知症を遠ざけよう


歩く

認知症は脳血管障害により引き起こされます。その為、 肥満を防ぎ生活習慣病を予防することが認知症の予防にも繋がるのです。 将来、認知症になるリスクを少しでも減らせるよう、 肥満やメタボ、またその傾向にある場合には、できるだけ健康的な生活を心がけて、 標準体重に留めておくよう心掛けることが大切です。

ちなみに、肥満解消には運動が効果的ですが、 運動を習慣化し、筋肉量を維持する事は、それ自体が認知症の予防に効果的です。 運動によって血流が良くなること、そして筋肉の刺激によって 脳が活性化されることが、認知症の予防に繋がります。


痩せ過ぎも認知症のリスクになる


肥満が認知症のリスクを高めるとは言え、痩せ過ぎにも注意が必要です。
無理なダイエットや痩せすぎなど、必要な栄養素が不足することでも、 脳の機能低下や血流不足を招き、認知症のリスクを高めることが分かっています。
標準体重を下回る過度なダイエットは、 肥満と同様に様々な健康リスクを招く要因となる為、 体重の減らし過ぎにも気を付けましょう。


適正体重を守り認知症のリスクを減らそう


肥満が様々な生活習慣病の原因になる事はご存知かと思いますが、 認知症にも関わることはご存知でない方も多かったのではないでしょうか。

健康的な食事や適度な運動、良質な睡眠など、 生活習慣を正し適正体重を保つ事は、健康で美しい体を手に入れるだけでなく、 様々な病気の予防、認知症のリスク低下にも繋がります。

病気の予防と言う目的を持つことも、 モチベーションになると思いますので、是非こうした点も頭に入れて、 日々のダイエットに励んでみてはいかがでしょうか。