インフルエンザや新型コロナウィルス、
また、秋花粉の影響などで
咳の症状を訴える人が増えています。
咳が続くのは、とても煩わしいものですよね。
息切れや呼吸のしずらさからストレスが大きくなることもあるでしょう。
体力を消耗し、疲労やだるさが増したり、
夜布団に入ってもなかなか眠れず不眠に繋がるなど、
日常生活に支障をきたす辛い症状です。
しかし、どうして咳は出るのでしょうか。
また長引く咳にはどのような原因があるのでしょうか。
今回は、
咳のメカニズムや原因、辛い咳を和らげる対策についてご紹介します。
辛い咳の症状を防いだり長引かせないためにも、
正しい対処法について理解を深めましょう。
咳(せき)が出るメカニズム
咳(咳嗽:がいそう)は、空気の通り道である
喉や気管などの気道に侵入した細菌やウィルス、
ほこりなどの異物を外に押し戻そうとするために起こる体の防御反応です。
気道は呼吸を行うための空気の通り道ですが、
度々、食べ物や飲み物が誤って入ってしまったり、ほこりや煙を吸い込んでしまう。
また細菌やウィルスが侵入してしまうことがあります。
この時、気道の粘膜の表面にあるセンサー(咳受容体)が異物を察知すると、
その信号が脳の咳中枢に伝わり、呼吸筋に咳を出すよう働きかけます。
そして咳反射が起き、咳が出ます。
異物の侵入を瞬時に排除するシステムが咳です。
また、異物の侵入の他にも、気道自体に炎症が起きたり、
気道に溜まった痰(たん)を出すためにも咳が起こります。
気道の表面は、粘液による潤いによって保護されています。
この粘液で異物を絡め集めたものが痰です。
痰は通常、気道の表面にある繊毛の働きで、喉へ運ばれる間に吸収されたり、
知らない間に自然と飲み込んだりして溜まる事はありません。
しかし、感染症などにより炎症が起きると分泌液の粘度が増し、
繊毛の働きも悪くなって痰が溜まりやすくなります。
こうして溜まった痰は咳によって排出されます。
この他、ストレスによっても咳が発生することもあります。
ストレスが溜まると、自律神経が乱れ、
脳幹にある咳中枢を刺激して咳が出やすくなります。
この様に、異物を体内に入れないようにすることで、
気管の清潔を保ち、健康な体を保っています。
健康を守るための防衛システム、重要な生体反射が咳なのです。
咳の原因や種類は様々
咳が出る原因は、細菌やウィルスによるもの、
アレルギー性のもの、咳喘息によるものなど様々ですが、
咳は“続く期間”によって3つの種類に分けられます。
「急性咳嗽」「遷延性咳嗽」「慢性咳嗽」
咳の症状が3週間未満のものを「急性咳嗽」(きゅうせいがいそう)と言います。
急性の咳は、風邪やインフルエンザなどの感染症による咳である場合が多く、
この場合は3週間未満で治る場合が多いです。
そして3週間〜8週間未満の長引く咳を、「遷延性咳嗽」(せんえんせいがいそう)、
8週間以上続く咳を、「慢性咳嗽」(まんせいがいそう)と言います。
3週間未満で収まる咳は、風邪やインフルエンザなどの
感染症が原因となる場合が多いですが、
3週間以上、または8週間以上と症状が長期になるほど、
感染以外の原因である可能性が高くなります。
咳が長引くことで考えられる原因には、例えば、
喘息、咳喘息、副鼻腔気管支症候群、慢性気管支炎、
慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アトピー咳嗽、胃食道逆流症、
肺結核、肺がん、薬の副作用、心因性咳嗽などが疑われます。
「乾性咳嗽」「湿性咳嗽」
また、咳の音や様子によっても咳の種類は2つに分類されます。
コンコン、ケホケホと、痰の絡まない(痰が絡むとしても少しの場合)
乾いた音のする咳を「乾性咳嗽」(かんせいがいそう)。
ゲホゲホ、ゴホゴホと言った痰が絡む湿った咳を
「湿性咳嗽」(しっせいがいそう)と言います。
湿った咳は、風邪など細菌やウィルスによる感染症の場合が多く
(治る過程で乾いた咳に変わるケースもある)、
長引く場合には、慢性気管支炎、気管支喘息、副鼻腔気管支症候群、
後鼻漏、肺がんなどが原因になることがあります。
一方、乾いた咳は、咳喘息やCOPD、アトピー咳嗽、
心因性咳嗽が原因になる場合がある他、意外なところでは、
胃食道逆流性によって胃液が食道に流れることで、乾いた咳が出る場合もあります。
この様に、一言に「咳」と言っても種類や期間、原因も様々です。
そして、咳の種類や咳が続く期間を見極める事は、
そこに潜む病気を見つける重要な手がかりとなります。
インフルエンザや新型コロナウィルス、
秋の花粉等で咳の症状を訴える人が増えていますが、
長引く咳には思わぬ病気が隠れていることもあるため、
自己判断で放置するのは危険です。
適切な治療が必要な場合もあるため、咳の状態や咳が続いている期間を踏まえ、
気になる場合は、専門の医療機関で適切に処置してもらいましょう。
煩わしい咳を和らげる対策
煩わしい咳を和らげる対策としては、マスクを着用したり、
加湿器を使用するなどして、出来るだけ喉や気管の粘膜を潤すのがお勧めです。
また、粘膜の乾燥対策として、こまめな水分補給を心がけることも効果的。
適度な水分補給は粘膜を潤すと共に、粘液を薄め、炎症を軽減して咳を鎮めてくれます。
この際には温かい飲み物を選ぶと良いでしょう。
温かい飲み物には加湿効果があり、喉を効果的に潤してくれます。
特にお茶の中には抗菌作用や抗炎症作用が含まれるものがある為、症状の緩和も期待出来ます。
また、夜寝る時に咳が出る場合には、仰向けよりも横向きに寝ることや、
枕やクッションなどで上半身を高くして寝ると苦しさが軽減できます。
横向きや上半身を高くして寝ることで気道を確保できるため、呼吸が楽になります。
また、睡眠中に口呼吸になると喉が乾いて咳が出やすくなるため、
マスクの着用や加湿器の使用などで就寝中の乾燥を防ぎ、
睡眠環境を整えることから安眠を確保しましょう。
咳がひどくて呼吸が苦しい時は、少しでも楽になるように対策を心掛けてみましょう。
咳の原因を見極め正しく対処することが大事
咳には、咳の原因を見極め正しく対処することが大切です。
咳が長引く背景には、思わぬ病気が隠れていることもあるため、
「たかが咳」と軽く考えず、気になる場合には早めに医療機関で診てもらいましょう。
またこの時期に増える感染症や花粉対策として、
マスクの着用やうがい、手洗いの徹底をすること。
そして何よりも、食事や運動、ストレス管理、睡眠の確保など、
生活習慣を正すことから免疫力を高めておくことも大切です。
まずは辛い咳に悩まされないように、
しっかりと対策をして咳の原因に対抗していきましょう。