腸の救世主、
「短鎖脂肪酸」(たんさしぼうさん)をご存知ですか?
短鎖脂肪酸とは、文字通り「鎖」が「短い」タイプの「脂肪酸」の総称。
ヒトの大腸内で腸内細菌によって作られる酸(有機酸)の一種で、
主に、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの種類があります。
短鎖脂肪酸は、腸管細胞のエネルギー源になり粘膜を丈夫に保つなど、
腸活には欠かせない物質です。また腸から吸収された短鎖脂肪酸は、
体のあらゆる場所で、私達を健康に導く様々な働きをすることが知られています。
そこで今回は、健康や美容・痩せやすい体作りに役立つ、
【短鎖脂肪酸の働き・増やし方】についてご紹介します。
短鎖脂肪酸は日々の生活の中のちょっとした心掛けで増やすことが出来ます。
是非、短鎖脂肪酸を増やす食事を意識することから、
無理なく健康な毎日に役立てて参りましょう。
短鎖脂肪酸とは
脂肪は、脂肪酸とグリセロールからできています。
脂肪にも様々な種類がありますが、その性質を決めるのは基本的に脂肪酸です。
脂肪酸は、炭素と呼ばれる元素が鎖状に連なった構造を持つ有機酸のことです。
この炭素の数が6個以下のものを短鎖脂肪酸と呼びます。
(6〜12個が「中鎖脂肪酸」、14個以上が「長鎖脂肪酸」)
私たちの体の細胞には、脂肪酸をキャッチする受容体が備わっています。
体内で有益に働く短鎖脂肪酸は主に酪酸、酢酸、プロピオン酸の3種類で、
この受容体にこれらの短鎖脂肪酸が結合することで、体に様々な作用が起こります。
短鎖脂肪酸の嬉しい働き
短鎖脂肪酸には、脂肪細胞の入り口で脂肪が蓄積するのをブロックする。
交感神経を刺激し、代謝を高め脂肪の燃焼を促すと言った働きがある他、
脳に作用して食欲を抑制するなど、痩せやすく太りにくい身体作りに役立ちます。
また、腸壁の上皮細胞のエネルギー源となり、腸粘膜の機能を高め、
病原菌やウィルスなど有害物質の侵入をブロックする。
腸を弱酸性に保ち、悪玉菌が出す酵素の力を弱めるなど、腸を健康に保つために働きます。
腸がしっかり機能することで、便秘を予防し、
腸管から水分やミネラルなどを吸収する力を高め、体を元気にします。
また、体内の炎症を抑える働きや、癌や生活習慣病、
免疫疾患を予防するなど、体の様々な箇所で有益な働きをすることが知られています。
短鎖脂肪酸を増やすには?
日々の生活で短鎖脂肪酸を増やすことが出来れば、様々なメリットを得ることが出来ます。
では、どうすれば短鎖脂肪酸を増やすことが出来るのでしょうか。
食物繊維を積極的に摂る
短鎖脂肪酸は、腸内で腸内細菌が食物繊維を代謝する際に生み出されます。
つまり、短鎖脂肪酸を増やすには、野菜や海藻類などから食物繊維を沢山補えば良いのです。
食物繊維は人体では吸収されない物質ではありますが、
腸内に住む細菌達にとっては大好物のご褒美です。
腸内細菌が食物繊維を餌として食べることで、どんどん短鎖脂肪酸を生み出してくれます。
また腸内細菌の餌が多いと、腸内細菌自体も増え、
増えた腸内細菌によって更に短鎖脂肪酸が多く生み出されるようになります。
水溶性食物繊維が効果的
食物繊維の中でも特にお勧めなのは、「水溶性食物繊維」を含む食品を摂ることです。
水に溶ける性質がある水溶性食物繊維には、
発酵性があり、短鎖脂肪酸をより多く生み出すとされます。
水溶性食物繊維は、ワカメや昆布、めかぶなどの海藻類、
オクラや山芋、モロヘイヤ、納豆と言ったネバネバ系食品。
寒天やアボガド、ごぼう等に豊富ですので積極的に補いましょう。
「お酢」や「発酵食品」を組み合わせる
また、食物繊維と合わせ、短鎖脂肪酸そのものである酢酸、
「お酢」を組み合わせると相乗効果が狙えます。
納豆や海藻類など、ネバネバ系食材とお酢は味の相性も良いので、
組み合わせて食べて短鎖脂肪酸を増やしましょう。
そして、食物繊維やお酢だけでなく、腸内環境を整える効果の高い発酵食品やオリゴ糖など、
他の腸活食材を同時に摂り入れるのも効果的です。
味噌や醤油、納豆に漬物、チーズ、ヨーグルト等の発酵食品、
そしてオリゴ糖を含むバナナや玉ねぎ、ごぼう、きな粉、大豆製品など。
短鎖脂肪酸を生み出す腸内細菌を元気にする意味でも、
是非こちらも日々の食事で意識してみましょう。
「短鎖脂肪酸」を健康な身体作りに役立てよう
日々の食事で食物繊維を積極的に摂ることは、腸内細菌にたっぷり餌を与え、
美と健康の救世主である「短鎖脂肪酸」を増やすことに繋がります。
食物繊維は第6の栄養素と言われる重要な栄養素でありながら、現代人には不足しがちです。
是非普段の食事でしっかり補うことから、腸内環境の改善、
そして健康な身体作りに役立ててみてはいかがでしょうか。